日本は「少子高齢化」社会ではない!?

決算特別委員会を来月に控えていることもあり、最近、財政問題について勉強しています。
さて、今の日本の政治経済を語るのに欠かせないキーワードと言えば、
少子高齢化
これでしょう。連日連夜マスコミでも議会でもこの言葉が出てこない日はないくらいです。
しかし、この「少子高齢化」という言葉そのものが、そもそも誤りである!と主張している方がいらっしゃいます。
それが「ニッポンの地域力」という本の著者である藻谷浩介さん。
(データと現場の実例をもとに日本の現状を鋭く分析した目からウロコの面白い本です)

実測!ニッポンの地域力

この中で著者は、
「高齢化」とは「高齢者の絶対数の増加」であって「少子化 → 総人口減少 → 高齢化率(65歳以上人口÷総人口)の上昇」ではない、従って「少子高齢化」という少子化と高齢化をひとくくりにする語を用いるのは不適当である。仮に少子化を食い止められても、高齢化=人数の多い今の中高年が加齢して、高齢者数が増加することは食い止められない。
と主張しています。(同時に子供に関しても、出生率より出生者数を見よ、とのこと。)
確かに「率」ではなく「数」を重視するべきだ、という主張は正しいと思います。
特に高齢者の絶対数が増える中で、現状の医療福祉サービスを維持しようとすれば、自治体の負担は確実に増えていきます。中野区でもその傾向が顕著であり、一般会計から国民健康保険事業特別会計、老人保健医療特別会計、介護保険特別会計の不足分への繰出し金(補てん金)も年々増加しています。
ちなみに中野区の年齢別人口の推移データを見てみますと、過去5年間で、0~14歳の人口は、26533人(全体の8,9%)→ 25805人(8,6%)、75歳以上の人口は、25398人(全体の8,5%) → 28979人(9,7%)とやはり子供の減少率よりも高齢者の増加率のほうが高いのが明らかです。
(日本全体では2025年の75歳以上人口が、2005年に比べて1,9倍に増えるという予測が出ているそうです)
これからの自治体財政、特に首都圏においては「少子高齢化」ではなく「高齢化」への対応をどうしていくのか至急考えていく必要がありそうです。
著者は、現役世代の負担で高齢者を養う、という今のシステムを高齢者が貯蓄を出し合って同世代を養うシステムに転換し、そのうえで高齢者対応の医療福祉体制を物量面、人材面で大補強する必要がある、と主張しています。
私もいい悪いの感情論は抜きにして現役世代が高齢者を支える今の制度には限界があるのでは、と感じており、全て高齢者自身で賄え、というのは無理があるにせよ、基本的にはこのような考え方に賛成です。
それはできない、ということであれば、経済政策を見直し税収を増加させることで不足分を賄う(もちろん無駄遣いは減らしつつ)というやり方もあるかもしれません。
いずれにせよ、できるだけ個人の負担が少なく高齢者が安心して老後を過ごせる社会にするためには、国レベルでの抜本的改革が早急に必要だ、ということなのではないでしょうか。

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