税金で土地を簡単に買える方法

先週、本会議で一般質問いたしました。
今回取り上げさせていただいたのは、大きく分けて次の2つです。
1.中野区土地開発公社が買った土地について、
2.区役所本庁舎一階の総合案内(受付)の改革について。

 最初の「土地開発公社」という外郭団体は、実態は区と一体の組織にも関わらず、ここの名前を使えば、議会の承認を経なくても、利用目的があいまいでも、資金の目途が全くつかなくても、全額借金して簡単に土地が買えちゃうという、区にとっては非常に都合のいい存在の組織です。
(最近の大きなお買い物は昨年買った本町5丁目の土地、約
139億円なり)
 全額借金して買うわけですから当然、金融機関への借り入れ利子を支払っていかなければなりません。合わせて事業計画が決まり、それが執行されるまでの間、それなりの維持管理費も別途かかってきます。ちなみに上記の本町5丁目の土地を購入したことにより、当分の間、利払いだけで、年間2億円も中野区が公社の代わりに支払っていかなくてはなりません。
 もちろん「区民」のため、「公共の福祉」のために土地が有効に活用できれば問題はないのかもしれませんが、中にはバブル崩壊前後の一番地価が高い時期に買ってしまった上、20年近く野っぱらのまま、という土地もあったりするので驚きです!
006.JPG この日、ちょうど草刈りが行われていました。この費用も当然税金です。

 例えば野方地区のこの土地。平成元年~2年にかけて、開発公社の名前で「高齢者アパート」を建設するという名目で、約7億4千万円で買った後、区が約2億円の借り入れ利子と維持管理費を払って平成18年に引き取りましたが、平成21年11月末の段階でまだこのありさまです。
 平成初期の取得時より地価が大幅に下落しているため、売却すると損失が確定してしまいます。当然、区は売却には及び腰となり、かといって、アパートを建設するお金もなく、他に有効な活用法も思いつかず。。。と、問題を先送りにしてきた結果がコレなんですね。
 実はここだけでなく、高いお金で買ったものの、台所事情が苦しいことを理由に、取得当時の利用計画が全く進まず、かといって、更地にしておくわけにはいかないだろうと、「暫定利用」という名目で非常に安いお金、あるいはタダで民間企業や個人に貸している土地が他にゴロゴロあります。
 そもそも公社設立の目的は、地価が右肩上がりのバブル期、皆が先を争って土地を買いまくっていた時代に、自治体が必要な土地をスピーディーに取得できるように、ということから始まったのですが、もう時代は完全に変わりました。公社はすでにその役割を終えたと言えるでしょう。しかし、中野区は未だこれに頼り、全額借金して土地を買い続けています。
 これから益々財政状況が厳しくなる中、今後はしっかり議会のチェックを受けてから、慎重に土地を買っていくべきだと思いますが(というより、公共サービスを提供するためには自治体が土地を買って自前の建物をつくらなくてはならない、という発想ももうやめた方がいいかもしれません)皆さまはいかがお考えでしょうか。
 以下、私の今回の一般質問を掲載しますので、お時間がある方は読んでみて下さいませ m(__)m


 公有地の拡大の推進に関する法律に基づき、区の外郭団体として、昭和63年に設立されました中野区土地開発公社は、設立当初から合計80以上の土地を、区に代わって先行取得してまいりました。まず区の用地委員会が土地の取得を審議決定し、最終的には区長名で公社に依頼書を出し、契約を結んで土地を先行取得させるわけですが、用地委員会の委員長は副区長、委員も全員区の職員、一方の開発公社の理事長も別の副区長、理事も全員区職員ということで、区と公社は事実上一体であると、私は思っております。ではなぜ区は、公社を使って土地を取得するのか。それは区にとって公社が非常に都合のいい存在だからなのではないでしょうか。なぜなら、取得予定地の詳細な事業計画も必要なく、議会の承認も得る必要もなく、区を保証人として、金融機関から資金を全額借り入れもできるなど、区で直接取得するよりも公社を使った方がはるかに簡単に土地を買えるからです。ちなみに用地委員会の議事録は非公開となっており、区がその土地の取得を決定した理由、および経緯の詳細を、我々は知ることができません。ルール上、公社に取得させた土地は、1~2年のうちに区が買い戻さなければならないことになっています。しかし区は財政難を理由に利子や維持管理費だけ肩代わりして買い戻しをせず、バブル崩壊前後の高い地価で買った土地を中心に5年以上、ひどい所は20年近くほったらかしの「塩漬け土地」更にいえば「不良債権」を増やし、結果、23区で唯一、土地開発公社の健全化計画を、東京都に提出することとなりました。しかしこれで公社の借金が消えるわけではなく、公社が金融機関から全額借入れするよりは、区が起債して借入する方が金利の面で多少有利、ということで、特例として公社から区に借金を付け替えさせてもらえただけで、根本的な問題解決には至っていないと私は理解しております。
 さて、多額の利子と維持管理費を上乗せした上、バブル崩壊前後の高い簿価で、ようやく区が公社から買い取った土地でも、多少雑収入が入る程度の「暫定利用」という名目で、当初の目的通り事業化もされず、高値で買ったのに有効活用されているとは言い難い土地がいくつもあります。15年前に2度にわたって公社が先行取得し、健全化計画に基づいて、来年度中にようやく区が引き取る予定となっている、中野5丁目の土地のように、最初の取得目的は、公園用地だったものが、いつの間にか用途変更されて福祉施設を建設することとなり、その後、区民活動センターの建設予定地に変わったと思いきや、最近になってまた、障害者関連施設をつくることに変更、しかし現在は撤去自転車保管所として活用中、と、結局何のために先行取得したのかさっぱりわからない、区の計画性のなさばかりが目立つところもあります。ほかにも平成3年と6年に、公園用地として、公社が取得した上鷺宮5丁目の土地には、維持管理費等を含め、約23億円もの税金が投入されましたが、結局10年以上「暫定利用」された挙句、最終的には東京都の事業である乳児院が建設され、区はそれを運営する社会福祉法人に無償で土地を貸与する結果となりました。予定ではここのスペースの一部を区の子育て広場事業や病後児保育事業に利用させてもらうことになっていますが、未だ実現されていないようです。 区は「機会損失」という概念をご存知でしょうか。高値で先行取得させた土地を、長年有効活用できなかったことで、我々区民の利益をどれだけ毀損してきたのか、民間企業ではありませんので、具体的数字は出しにくいかもしれませんが、是非一度真摯に考えるべきだと思います。その上で、今後も有効活用が見込めない土地については、無理に箱モノを作ろうとせず、かつ、その場しのぎの暫定利用はもうやめて、この財政難の折、定期借地権の活用とともに聖域を設けることなく、売却できるところは全て売却するくらいの覚悟で、もっともっと真剣に土地の整理と活用を考えていくべきなのではないでしょうか。見解を求めます。 
 
また、こういう歴史を経て、健全化計画も2度も提出するはめになったにも関らず、区が公社を通じて土地を買うことを辞めないのは、率直に申し上げ不思議でなりません。確かに公社を通せば、中野区という強力な保証人をバックに簡単に借金ができて土地を買えますので、区にとっては大変魅力があるかと思います。しかし、その借金がのしかかってくる将来世代は大変です。平成20年度末の中野区土地開発公社の金融機関からの借入金残高は、23区の中で2番目に多い256億円に上り、23区合計の約20%を占めています。公社がこの時点で抱える土地の分だけで、区は11億以上の利子と維持管理費を払ってきました。ちなみに借入残額第1位は足立区、3位は練馬区ですが、両自治体とも中野区より財政規模がかなり大きなところです。そもそも開発公社自体が存在しない区が3区、あっても借入残額ゼロの区が5区です。地価が右肩上がりの時代はとうに終わり、公社そのものの存在意義も問われる中、中野区は未だこれに頼り、多額の借金をして土地を買い続けている。この財政難の中、区民は本当にそれを望んでいるのでしょうか。  
 
例えば昨年139億円で本町5丁目の土地を取得したのに続き、今年の7月にも、現在、高齢者農園として利用中の上鷺宮の土地を、目の前のハチナリ(八成)公園の拡張用地として公社が約31600万円で、先行取得しています。この地域は、歩いてすぐのところに別の公園や広場があり、決して拡張するほど公園に不足しているとは思えません。区は平成2年にも、この地域に都市計画道路が完成した場合、元の公園用地の面積が削られるという理由で、公社経由でこの公園の拡張用地を先行取得し、整備したと聞きました。ここの都市計画道路は優先整備路線でもなく、事業の着手のめども全く立っていない状態ですが、地図上では、平成2年時買い増しした土地の一部にも、その道路が通ることになっています。将来削られるかもしれないとわかっている土地を取得しておいて、また更に買い増す、ということなのでしょうか。私はてっきり高齢者農園存続のために公社に取得させたのかと思いきや、担当課には公園にするのだと断言されました。名目上は、とりあえず公園用地として買っておいて、利子だけ払い続けて公社から引き取らず、また「暫定利用」という錦の御旗を掲げて高齢者農園という形で目的外使用を続けるのでしょうか。いずれにしても、この厳しい財政状況の折、この土地を買うか買わないかは議会を含め、もっと議論する必要があったのではないでしょうか。この調子で、区内の他の区民農園も今後全部買い取っていくおつもりなのでしょうか。ちなみにここは土地の物納を迫られた地主さんから区に買ってほしいと依頼が来た所だそうですが、仮に国に物納されても、必ずその土地が所在する自治体に最優先で取得権が与えられ、自治体が希望を出して審査に通れば、2年間の取得猶予が与えられます。ウェブ上にも物納物件の所在地とその取得を希望する自治体や開発公社のリストが公開されています。農園は地主さんが無償で貸与してくれている間のみ利用でき、返却を求められたら速やかに返すという前提で区が利用者に提供しているはずですし、他区の区民農園でもいつ返却を求められてもいいように、常に準備調整しながら住民に利用してもらっているそうです。公社が取得した今年の7月前には、もう今後の大変厳しい財政状況が、ある程度予測できたはずです、なのにまた全額借金をして3億以上の土地を買った。その理由についてご説明をお願いします。