あれをします、これをしますと言うのは簡単

私たち区議会議員の仕事は、大きく言えば、中野区という街や区民生活を「こうしてほしい」「ああしてほしい」という区民の方々の思いや要望を、皆様からお預かりした税金を活かしながらカタチにしていく(実現していく)お手伝いをする仕事だと思っています。皆がこの街で安心して気持ちよく暮らしていくためのルールづくり(条例づくり)もその一環と言えるのではないでしょうか。
中野区に限ったことではありませんが、これまで行政や議会は区民の目に見えやすくわかりやすいかたち、例えば箱ものをたくさんつくったり、補助金を配るなどのことを中心に皆様の要望にこたえてきました。議員の場合は特に目に見えやすいものの方が選挙の際にもアピールしやすいからです。
区民にあれを提供します、これも提供します、というのは簡単です。ただし当然のことながらそれを実施するためには必ずお金(税金)が必要となります。
しかしこれまでその財源をいかに確保していくか、増やしていくかについては行政も議会もほとんど重視してきませんでした。足りなければ借金すればいいじゃないか、という感覚で区民の目に見えないところで借金を重ねながら、身の丈に合わない規模で無理して皆様の要望にこたえてきた、と言っても過言ではありません。それに気づき問題意識をもっていた区民もほとんどいなかったのではないでしょうか。
その結果、中野区は平成12年に「財政非常事態宣言」を発令し、財政運営の見直しに着手せざるを得なくなりました。昨年末は目黒区が同様の「財政緊急対策」を発表し、大幅な事業の見直しを行うことになったようです。
東京23区は会社も人口も税収も多いし、いつぞやの北海道夕張市のような財政破たんという言葉とは無縁なんだろう、と思っていらっしゃる方がいるとしたら、過去の中野区や今回の目黒区の例を見てそれは違うんだということをご理解いただければと思います。
これから急速な高齢化や労働人口の減少で税収の大幅な伸びがほとんど期待できない中、これまでのような景気の浮き沈みや税収の増減に一喜一憂しない、振り回されない中長期的な視点での計画的な財政運営が必要とされています。
将来世代に大きなツケを回すその場しのぎの借金を重ねてもバラマキを続けてほしいという区民の方も、もはやほとんどいないのではないでしょうか。
議員が区民の皆様の要望に応えるためとして行政にお金を使わせるのであれば、同時にその財源をいかに確保していくかも真剣に考えていく必要があります。それをせずして「あれを提供します、これも提供します」と聞こえのいいことだけを言うのは、政治家として非常に無責任だと私は思います。