先日、とある新聞社から来年四月の統一地方選挙を前にいまだ少数にとどまっている女性議員に関する記事の参考にしたい、と、アンケートメールが届きました。(都内の女性地方議員全員に送っているとのことです)
その後民間企業で正社員として働く大学時代のワーキングマザーの友人と会う機会があったため、アンケートの質問項目にあった「女性議員が増えない理由は何か」について議論してみました。まず彼女に選挙に出てみたいと思う?と聞いたら答えはノー。議論の結果、一番大きな理由は「経済的問題」ではないか、という結論に達しました。
国政選挙はもちろん地方選挙においても選挙に出て当選するためにはそれなりのお金がかかりますが、組織的選挙を行う一部の政党を除いて、各党が丸抱えで候補者の面倒を見てくれるわけではなく、個人である程度(無所属や政党によってはほとんど全額個人負担の場合も)人やお金を準備しなければなりません。選挙が近づくにつれ会社員の場合は仕事をいったん辞めざるを得ませんが、どんなに本人が頑張っても落選する可能性も当然あります。今の経済状況でいったん正社員の職を離れたら、また同じ待遇で社会復帰することはなかなか大変です。特に女性の場合はその傾向が強いですし、一度は当選できたとしてもいつまで続けることができるか分からない、落選後の保障が全くない不安定な職業ですので、今の職を捨ててリスクの高い政治の世界に飛び込むには相当の度胸と覚悟が必要、ということになります。
私の友人がノーと言った理由も一番大きな理由は「今の会社をいったん辞めたら恐らく二度と同じ待遇で同じ仕事はできないから」ということでした。
一般的なアルバイトや派遣社員の給料では選挙費用(選挙前に法務局に収めなければならない供託金だけでも区議会議員選挙で30万円かかります)をねん出するのもなかなか大変ですし、そうなると落選のリスクをさほど気にせず立候補できる女性というのは一部の政党からの候補者を除き、政治家の二世三世でもともと地盤がある人、実家や自分自身、あるいは夫に経済的ゆとりがある人、医師や弁護士等のような専門職、知名度が高いタレントやアナウンサーみたいな人に限られてしまいます。選挙や議員活動に特に大きなお金がかかる国会議員の場合、見ていると女性政治家はそのような人達ばかりになりつつあります。
政治の世界に女性が増えることはとても大事だし必要だと思いますが、今の選挙事情、制度事情のままクオータ制を導入して無理やり女性議員の数を増やそうとしても、少々偏った立場の女性(政界のキーパーソンと太いパイプがある人も含む)しか手を上げられないという結果になりかねませんので、それだったらむしろやらない方がよいのではと思います。
男性は「政治家になりたい」と借金してチャレンジする人もいらっしゃいますが女性はそこまでできません。政治とお金について益々厳しい目を向けられている昨今ですが、やみくもに締め付ければ締め付けるほど人物本位、能力本位、女性が活躍する政治から遠ざかっていく可能性もあります。