中野で本当に必要な震災対策とは③

避難所にも長期間いられない、応急仮設住宅も十分供給されないことが予想される中野区内においては、やはり震災が起きてもそこで暮らし続けることができる耐震性に問題のない安全な住宅に住むことが区民の皆様にとってベストの震災対策であり、区はその支援に力を入れるべきではないでしょうか。中野区では現在、昭和56年以前に建てられた木造住宅について無料で耐震診断を行い、一定の成果を上げてきていますが、熊本の震災で再び住民の震災対策への関心が高まっている今こそ、この事業の強化と拡充が必要ではないかと私は考えています。

中野区は、アパート、マンションなどの民間賃貸住宅が多く、戸数ベースで全体の65%を占めています。中でも昭和56年以前に建てられた耐震性を満たさない古い木造賃貸アパートが2,000棟以上あり、耐震化率は70%に満たない状況です。これまでの大規模地震ではこのような木造賃貸アパートが特に大きく被災しました。居住者の人命保護の観点や建物の倒壊や火災で周辺家屋や道路、住民に与える影響の大きさを考えますと、このような木造賃貸アパートの耐震化も後押ししていくべきではないでしょうか。

またこれまで、建築基準法の見直しがあった昭和56年と平成12年以降に建てられた建物については、耐震性に問題なしとみなされていました。しかし、熊本の震災では現在の耐震基準で建てられていた家屋のうち、倒壊してしまったものとほとんど被害が出なかったものと、同じ地域内でも建物によって被害に大きな差が出ています。国土交通省が原因を調査し、とりまとめているようですが、数値上では耐震基準をクリアしていても、地盤の弱さや建物自体の経年劣化や施工の不具合、どのような工法を採用するかで十分な耐震性を発揮できないケースがあることは以前から指摘されていました。特に、平成10年までは中間検査が義務化されておらず、完了検査を受けた建物も25%程度と言われており、設計施工に問題があってもそのままになってしまい、結果として数字上の耐震性を満たしていない建物が一定数あると考えられます。

現在、区の無料耐震診断は昭和56年以前の建物しか行っておりませんが、このような実態を踏まえ、昭和56年より後に建てられたものであっても、例えば法定耐用年数を超えたものについては無料耐震診断の対象とすること、また、本格的な耐震診断を受けるかどうかの判断材料として、建物所有者が事前に自己診断ができる簡易チェックシートのようなものを作成、配布することを提案いたしました。