中野区の待機児童対策はこれでいいのか?

子供を産んでも働き続ける女性が増え、保育所の待機児童対策は都内の自治体でも喫緊の課題となっています。

中野区の待機児童数は昨年平成29年4月現在で375人

同時期の近隣の自治体の数字を見てみますと

杉並区 29人、練馬区 48人、新宿区 27人、豊島区 ゼロ 渋谷区 266人

となっており、渋谷を除いてどこも中野よりも一桁少ない数字です。

これではまずいと中野区は29年度、12園の認可保育所と6園の小規模保育所の開設を目標に予算を組んでいましたが、結果として

12園 → 4園

6園 → 1園

しか目標を達成できませんでした。

実は区内に東京都が少なからず土地を保有しているのですが、小池百合子都知事が就任してから、それらの都有地を保育所用地として区市町村に積極的に提供するという方針を打ち出しており、豊島区などは以前からそれを最大限活用していました。中野区は保育所整備は区市町村の仕事で東京都の世話にはならない、という強気のスタンスだったのですが、さすがに背に腹は代えられないと急遽、東京都にお願いして都有地3か所を提供してもらい、そこに無認可保育所をつくることを決めました。それでも待機児童がかなり残るため、更にもう3か所、区立公園の中に保育所をつくることににしました。

待機児童数が減るのは良いことなのですが、問題はこの6園が2年間限定のプレハブづくりの暫定保育園だということです。

たった2年間で壊すこの6園に対し、設置、レンタル料などで建物代だけで20億円以上の区税が投入されます。この金額も競争も何もなく決まりました。

本来、当初の計画通りに認可保育所や小規模保育所を整備できていれば、国と東京都からの20億円の補助金を使えたにも関わらず、それができなかったため、その20億円が使えなくなった上に、たった2年間限定の保育園をつくるために区民の皆様の税金が建物だけで20億円以上投入されることになりました。ゼロ歳児から2歳児まで預かる2年限定の園であるため、せっかく入った在園児たちも転園が必須となり、スムーズに転園先が見つかるかも不明です。

しかも限られた場所に無理やり建物をつくるため、区立江原公園では何十年もかけて大きくなったヒマラヤ杉を何本か伐採しなければならなくなりました。2年間で壊す建物をつくるためにここまで立派に育ち地元の方々にも馴染み深い木を安易に切ってしまうのも非常に勿体ない話です。住民の方々は公園に保育園をつくるなとは言わない、建設場所をずらして木や緑に手をつけないで済むよう少しは考慮してほしかったと肩を落としていました。

この木が切られることになりました。

今年6月の区長選挙に向け、その前の4月の時点で待機児童数を大幅に減らし実績としてアピールしたかったのはわかりますが、やり方があまりに計画性がなく強引すぎます。昨年8月に急遽緊急対策本部が立ち上げられ、全く足りていなかった担当職員数も増員されましたが遅きに失した感がぬぐえません。議会にも今回のプレハブ保育所の建設場所は直前まで報告されず、近隣住民からの要望にも耳を傾けることなく合意形成も無視して強行された今回の待機児童対策。待機児童を減らすことはもちろん大切で異論はありませんが、当初から現場の声を聞き、危機感をもって対応していれば、もっと区税の効果的な使い方ができたのではなかったかと非常に残念です。