現在、中野区の条例で定められた区議会議員の定数は42人です。これを40人に削減するという条例改正案が昨年末の第四回定例会にて賛成少数で否決されました。反対したのは自民党、立憲民主党、共産党、生活者ネットワーク、無所属議員3名。区民感覚よりも議員側の論理優先の残念な結果となりました。4月に行われる予定の中野区議会議員選挙もこの定数42の議席をめぐって争われることになります。
区議会議員の報酬と定数は議会の議決を経て条例で定められます。報酬については特別職報酬審議会という第三者機関に区長が諮問し、その答申を基に議会で最終決定されます。つまり給料については外部の客観的なチェックが入りますが、議員の数に関してはそのような機関がなく、議会判断に全てが委ねられています。その報酬と定数ですが、これが正解という明確な基準がなく、中野区の場合は特別区内の他の自治体と比較検討することが重要な判断材料になるといえます。報酬に関しては23区の中で最下位レベルの中野区ですが、議員定数に関してはどうなのでしょうか。
議会で述べられた削減反対の理由として、区の人口や財政規模、行政課題が増えてきている、などが挙げられていました。しかしそれは23区どこも同じ状況です。また2015年の国勢調査結果によれば、中野区は議員一人あたりの人口が23区中15位で決して少なくはない、多様な意見を反映するために42人は必要との主張もありましたが、区議一人あたりの人口が何人以上だったら多様な声を反映しているといえるのでしょうか。議員一人当たりの人口が一番多い世田谷区は、23区で最多の90万人の人口を抱え、区議会議員の数は50人しかいません。一方、議員一人当たりの人口が一番少ない千代田区は、23区で最も少ない約58000人の人口に対し、議員数が25人です。例えばこの数字をみて世田谷区では多様な声が議会に反映されておらず、逆に千代田区では中野区よりも多様な声が議会に反映されていると言い切れるのでしょうか。議員定数の適正化を議論するにあたっては、議員一人あたりの人口が多いか少ないかではなく、中野区と同規模の人口の区と比較検討することが、わかりやすく妥当ではないかと考えます。そこで2015年の国勢調査の数字に基づき、中野区と同じ人口30万人台の他の特別区と比較してみますと、
となっており、この中では人口が一番少ない中野区の議員定数が一番多いという結果になっています。またこの年の財政規模も中野区が一番小さいといった状況でした。この数字を見る限り、果たして中野区議会の議員定数は今回、本当に削減する必要がなかったのか、私は甚だ疑問に感じております。中野区役所の常勤職員数はこの15年間で3000人から2000人まで削減されました。一方、中野区議会議員の数は15年前に46名から42名に削減されて以降、一人も減っておりません。私が初めて議席をいただいた10年以上前から、議員の死亡や辞職により42人の定数に欠員が生じている期間がかなりありましたが、そのことにより議会運営に大きな支障が生じた、あるいは区政への大きなマイナスの影響があったという記憶はありません。区役所も区議会も最小限の人数で最大限の効果を出し区民に還元していく、そのような姿勢や努力が欠かせないのではないでしょうか。私、いながきじゅん子はこれからも議会改革の一環としてこの議員定数削減の実現に向けて尽力してまいります。